文化講演会「古江戸蕎麦切の時代考証について ~蕎麦切・汁と時代背景をもとに~」

1213日(土)大妻コタカ記念会主催第1回文化講演会が大妻コタカ記念会館で開催されました。

この日は、新潟県新発田市の「山岳手打ちそば『一寿』」の店主である板垣一寿さんに「古江戸蕎麦切の時代考証について~蕎麦切・汁と歴史的背景をもとに~」というテーマでご講演いただきました。

板垣さんは、講演者として紹介してくださった大妻女子大学の松本憲一先生と共に、蕎麦に関する研究をしておられ、日本食生活学会でも発表されるなどのご活躍をされている方です。

蕎麦切は、室町時代の古蕎麦切、江戸時代初期の古江戸蕎麦切、江戸時代中期から後期の江戸蕎麦切として分類され、文献古江戸蕎麦切の史料「中山日録(1636年)」、「料理物語(1643年)」、「本朝食鑑(1697年)」が残っており、蕎麦切の食べ方や時代による移り変わりが記されているそうです。(配付されたレジメより)

板垣さんはこの史料の「本朝食鑑」を基にして当時の味を再現されました。

蕎麦つゆの歴史をたどると、1750年ごろに醤油の文化が和歌山から江戸に入ってきて、醤油とだしを合わせた汁(つゆ)に変化していき、1800年代になると今に続く江戸の蕎麦屋さんが創業していきます。

醤油以前の蕎麦つゆは、味噌と水を合わせてこした「生垂れ」、生たれを加熱して煮詰めてこした「垂れ味噌」で、それに薬味のみかんの皮、大根汁、ワサビなどを加えて蕎麦を食していたそうです。

 板垣さんの地元の新発田市は「忠臣蔵」の四十七士のひとりである堀部安兵衛の出身地です。それに因み板垣さんのお店では、元禄時代の味を再現して「垂れ味噌」で「堀部安兵衛 討ち入りそば」というメニューを出されています。

 赤穂浪士たちが討ち入り前に食べたであろう蕎麦の味を、一度味わってみたいという興味がわき、日本人にとって古くからなじみ深い蕎麦が一層身近に感じられる思いがしました。

また、板垣さんは松本先生とダッタン蕎麦の普及にも努めていらっしゃいます。

ダッタン蕎麦にはポリフェノールの一種であるルチンが普通の蕎麦の100倍近く含まれていて、その成分から黄色い色をしていることが特徴的ですが、生活習慣病の予防に大きな効果があることを伺いました。

お土産にいただいたダッタン蕎麦茶は香ばしく飲みやすく、美味しくいただきました。

 

今年度の文化講演会は「食文化」をテーマにしております。

第2回目は2月28日(土)に「発酵食品~味噌、醤油の知られざる魅力~}をテーマに角田潔和先生にご講演いただきます。どうぞお楽しみに。皆様のご参加をお待ちしております。

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