文化講演会「知られざるメルヘンの世界」第2回

1112日(土)、小春日和の穏やかな午後、今年度の「知られざるメルヘンの世界」をテーマとした文化講演会第2回が開催されました。

この日の演題は、大妻女子大学名誉教授である森義信先生による「メルヘンから見える歴史―シンデレラ・ストーリーを中心として―」で、我々の知らない歴史学を背景としたシンデレラ・ストーリーをお話しいただきました。

従来、メルヘンは主に児童文学や精神分析学の対象とされてきていましたが、メルヘンには前近代ヨーロッパ社会のあり様が如実に物語られており、その歴史情報を歴史家の手で解釈を施していく研究がなされてきているそうです。

この講演ではメルヘンに登場する母親、父親、家にいる女の子、そして旅する男の子の姿がメルヘンを理解するための前提として語られ、さらにメルヘンに潜むシンボルやメタファーについての解釈を教えていただきました。

特にシンデレラ・ストーリーの主要なモチーフである「靴」について、民俗学的、宗教的な意味も教えていただき、ディズニーアニメで知っているシンデレラとの違いを知り、大変興味深いものでした。

最後に、シンデレラの強い意志、女性として、妻として、母親としての覚悟が見て取れ、女性は覚悟さえ決めれば、男性よりも余程強く、肝が据わっている、王子も継ぎはぎだらけの仕事着姿のシンデレラを受け入れる見どころのある青年かもしれない、そのようなところが長く愛され続けているシンデレラ・ストーリーの魅力なのかもしれない、と結ばれました。

詳しいレジメをご用意くださり、楽しいお話しを聞かせてくださった森先生に感謝申し上げます。

写真はご用意いただいたアーサー・ラッカム(メルヘンやファンタジーの挿絵で知られる英国の挿絵画家)のシンデレラの挿絵。

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